認証取得の誘因は需要への効果か?供給への効果か?

4月21日、味の素ゼネラルフーズさんのご案内でレインフォレスト・アライアンスのコンソーシアム設立記念シンポジウムに参加してきました。

シンポジウムは120名ほど参加 


カエルのマークのレインフォレスト・アライアンス 


レインフォレスト・アライアンスは持続可能な農業の推進によって自然環境を保護することを目的とした認証制度です。

「レインフォレスト・アライアンス認証とは、野生生物の保護、土壌と水資源の保全、農薬の制限や廃棄物の管理、労働者の適正な給与、労働者とその家族および地 域社会の生活向上、子どもたちの医療・教育の保証などを通じて持続可能な森林管理や農園経営を目的とした包括的な基準を満たしている農園にだけ与えられる 認証です。」(レインフォレスト・アライアンス公式サイトwww.rainforest-alliance.org/ja )

今回設立されたコンソーシアムは、味の素ゼネラルフーズ、キリン、銘葉、ユニフルーティージャパン、ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス、ローソンの6社で結成されました。

シンポジウム全体を通じて感じられたのは、「市場原理を通じた環境保護」というレインフォレスト・アライアンスの一貫した姿勢でした。基調講演でも、認証取得は経済活動とは別の慈善事業なのではなく「投資」という経済活動なのだということが強調されていました。

特に、興味深かったのは、認証が商品の付加価値を生み出すという点よりも、サプライチェーン管理に際する取引コストを縮減するという点が認証導入のメリット として説明されていた点です。つまり、マーケティングのツールというよりもリスク・マネジメントのツールとして自らを売り込んでいるということです。

有機やフェアトレードの衣料品なんかでは、商品のモード化効果が全面に押し出されていた気がします。けれども農産物の場合は、新規性やプレミア感によってブ ランディングする短期的戦略よりも、安定した供給を図る長期的戦略の方が重要になってくるので、取引コストの点からメリットを説明する方が効果的なので しょう。以前、味の素ゼネラルフーズさんにお話をうかがった際も、後者の方をメリットとして認識しているとお話頂いた記憶があります。

そもそも認証導入の誘因が需要サイドに対する効果にあるのか、それとも供給サイドに対する効果にあるのか。研究的に言えば前者は市場的アプローチ、後者は制度的アプローチということになるでしょうか。今後の研究課題のひとつです。

6月が宣伝強化期間になるということですので、その時期にはみなさんもよく目にすることになるかと思います。