徳島の現在(3):移住とオーガニック

徳島レポート、今回で3回目です。
少し時間が空いてしまいました。
今回は引き続き神山町です。



町内を流れる鮎喰川(あぐいがわ)


前回も書きましたが、神山町の「創造的過疎」は農林業だけに頼らない持続可能な地域を目指しています。
しかし、それは脱-農業を意味しているわけではないとのことです。
神山モデルによる地域再生プロジェクトにおいて、農業はむしろ本丸に位置づけられます。

グリーンバレーの大南さんによればアート、ITビジネス、飲食業は農業を結節点に結びつきます。

芸術・文化による移住促進の契機

起業家誘致

サテライトオフィスの増加

サービス産業(飲食業)の促進

農業の促進

地域内経済循環

簡潔に書けば上記のようになるでしょうか。
芸術家や起業家が集まれば自然と雇用が生まれ、それに対する飲食業の需要が高まります。
飲食業が増加すると自然と農産物の需要が高まります。
この需要を地域内で生産された農産物で満たすわけです。
人を集めて生産力を上げようという従来の移住政策の発想の逆転です。
人を集めて消費力を上げ、それを農業の受け皿にして「地域内経済循環」を生み出すわけです。

そして、この農業ですが軸となるのがオーガニック、つまり有機農業とのことです。
なぜ有機農業なのか?
話を聞いている限り、その必然性はよくわかりませんでした。
ただ、オーガニックフードが移住者のニーズにマッチしていることは感覚的にわかります。
移住×オーガニックという組み合わせ、他の地域でもよく見られます。
従来的な産業社会的都市型ライフスタイルへのオルタナティブ、という点で結びついているのでしょうか。
僕のこれらからの探求関心のひとつでもあります。

町内のビストロ、レストランはオーガニックフードを提供していますし、フェアトレードのコーヒーも置いてあります。
移住者のなかには有機農業をおこなっている人もいます。
僕が泊まった神山WEEkでも、オーガニックフードがウリでした。



古民家を改修した神山WEEKの食堂

神山WEEKはSTAY&WORKをコンセプトにした宿泊施設です。

神山WEEKへのリンク

http://www.week-kamiyama.jp




WORK!というコンセプトのことで、僕も午後の3時間くらい自分の仕事をここでしました。
神山プロジェクトは常に労働と結びついています。
余暇の遊びや老後の気ままな生活をしたい人を求めているわけではないんですね。
日々の労働から逃れて、自然のなかで共同体生活を・・・なんてヒッピー的発想は甘いってことでしょうか。
神山の思想はあくまでも「脱-労働」ではなく、「多様な働き方」を目指すものなんですね。


話が脱線しました。
この神山WEEKのキッチンの方々、有機農業やフェアトレードについても非常に詳しかったです。
しかもそのなかのお一人は、本場のイタリアでスローフードを学んできたとのこと。
僕も、有機農業やフェアトレードの研究に携わっているので、色々とお話をうかがうことができました。



オーガニック関係の本も抱負でした




夜の食事


神山WEEKでお会いした他の宿泊者は、みなさんMac Book Air でお仕事でした。
(例に漏れず僕もです。)
神山の知名度を上げた写真、あれも自然×Mac Book Airでしたね。
神山にはクリエイターが多いので、Macで仕事をする人は多そうですが。
そういえば、スティーブ・ジョブズもオーガニック主義者でしたね。
「古民家 × 田舎 × オーガニック × Mac Book Air」という組み合わせが、ひとつの新しいライフスタイルのモデルを構成しているのでしょう。
そう思うと「タワーマンション × 東京 × スタバ × Mac Book Air」という組み合わせは(けっしてそうしたライフスタイルを否定するわけではないですが)、もともとのジョブズ的思想からは離れているのもかもしれません。

産業社会的都市型ライフスタイルからポスト産業社会的田舎型ライフスタイルへ。
前者がパラノ=ツリー型だとすれば、後者がスキゾ=リゾーム型でしょうか。
オーガニックと移住は、きっと「リゾーム的志向」という第三の変数によって結びついているのだろうと、この神山でひしひしと感じました。

夜は、プラットイーズの忘年会が神山WEEKで開かれ、たまたま居合わせた僕なんかも混ぜて頂き、楽しい時間を過ごさせて頂きました。
WEEKで出会ったみなさん、ありがとうございました!

次回は神山のさらに奥の奥、「持部」の集落について書きます。

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