徳島の現在(2):神山町の創造的過疎

徳島市から車で1時間ほど。
山間の里、神山町に着きました。


徳島県神山町


神山町はかつて林業で栄えた里山。
1970年には1万3千人いた人口は、現在は6千人ほど。
過疎化の進む典型的な田舎の集落です。



神山町の景観


2000年代には、アーティスト・イン・レジデンス計画がはじまり、アートによるまちづくりを目指しました。
自費滞在を希望する芸術家に宿泊・アトリエ等のサービスを有償提供することでビジネス展開を模索したそうです。
この計画は軌道に乗りつつありましたが、ただこれ自体が爆発的な効果を生んだわけではないようです。
この計画は結果的に「種まき」だったと言えばいいでしょうか。
アーティスト・イン・レジデンス計画のためにつくったHPアクセスを分析したところ、アート関連よりも移住関連の項目にアクセスが集中していたのです。
これによって顕在化した移住需要を掴もうと、アーティスト・イン・レジデンスと同時にワーク・イン・レジデンス計画を展開させました。
アートに限らず多彩な職種で移住者をゲットしようと舵をきったわけです。

神山で特徴的なのは、働き手の「逆指名」制度です。
事前に職種を特定することで街のデザインが可能になりました。
クリエイター、エンジニア、デザイナー、プログラマー、飲食業などが神山に集い、この山間の里にオフィス、レストランが誕生することになりました。
現在、集落にはIT企業や映像企業のサテライトオフィスがいくつも入り、地域再生の模範的モデルとして有名になっています。
神山への移住は現在、移住の需要過多で、移住待ちが100件だそうです。
すごい。




神山町農村環境改善センター(移住交流支援センター)


以上のお話はNPO法人グリーンバレーの大南さんからうかがいました。
グリーンバレーは2004年に結成された「神山プロジェクト」を企画・推進する団体。
神山プロジェクトは、「創造的過疎」をテーマに掲げています。
創造的過疎とは、
「過疎化の現状を受け入れ、外部から若者やクリエイティブな人材を誘致することによって人口構成比を健全化させ、多様な働き方を実現できるビジネスの場としての価値を高め、農林業だけに頼らないバランスのとれた持続可能な地域を目指すもの」(大南さん)
です。

神山の成功の鍵は「人材」とのこと。
いかに優秀な人材を呼び込むか、そしていかに優秀な人材を育てるかが大事。
神山では「神山塾」と呼ばれる人材育成事業にも取り組んでいます。

えんがわオフィス


写真は古民家を改修して作られた通称「えんがわオフィス」。
映像関連企業のプラットイーズのサテライトオフィスです。
神山にはこうした空き屋を利用したオフィスがいくつもあります。
プラットイーズのみなさん、色々とお話をお聞かせ頂き有り難うございました!

この神山で話を聞いていると、「食」の重要性が浮き上がってきました。
次回は「食」と創造的過疎の関係に焦点を当てます。

コメント